彼が結婚式でサプライズをしてくれました

彼と友人が結婚式で贈ってくれた嬉しいサプライズ

夫との結婚が決まった時、ぜひ、式に御招待したいと思う方がいらっしゃいました。昔、イギリスに留学していた頃、とてもお世話になった下宿の奥様です。彼女は英国の貴婦人がそのまま良い感じでお歳を召されたという感じのとても素敵な人で、同じ女性として私の目標でもありました。だけど、結婚が決まる2ヶ月前に心臓の発作を起こして入院されたということをメールで知らされていたし、高齢の彼女に飛行機で遠い日本まで来て貰うのは無理だろうということであきらめていました。

来賓の方を決める時に夫にその話をすると、せめて俺たちの写真で作ったカードを贈ろうか、と慰めてくれました。夫とは同じ語学教室で出会いました。それも英会話のではなく、ドイツ語の教室です。家具と雑貨の輸入会社に勤めている私は留学経験のおかげで英語は操れたのですが、ドイツ語の方はいまいちでした。しかし、あるドイツの職人さんの家具に惚れこんでしまい、取引を成功させるために言葉を覚えなくては、とちょうど生徒を募集していたそこに申し込んでみたのです。

教室の初日、素敵な古民家風の御宅を訪ねてみて驚きました。生徒が私と彼ともう一人の計3人だけという有り様だったのです。でもそれがかえって良かったんだと思います。サンタクロースに似た風貌のお茶目なM先生と、三人の生徒のみのアットホームな教室はとても楽しくわきあいあいとしていて、そうしているうちに夫との交際もごく自然に始まっていました。

昼間に身内だけの式と披露宴を行って、夕方からは式場近くの小さなレストランを貸しきり、友人を集めて披露宴を兼ねたパーティーをしました。 パーティにはM先生と生徒仲間Oさんも御招待しました。司会進行の内容もイベントの演出もすべて友人と自分達とで考えた手作りのパーティです。式の時は白無垢でしたので、こちらではウェディングドレスとタキシード姿をお披露目しました。なごやかな会場で私に思わぬサプライズがもたらされたのは、夫がスピーチの為に立ち上がった時でした。

それまで、二人のプロフィールの映像を流していたスクリーンがふっと、真っ暗になりどうしたのかと思っていたら、マイクを持った夫がこちらを向いて『突然ですが、ここで新婦へのビデオメッセージを上映します。彼女が本当は会いたくてたまらなかったけれど事情があり残念ながらご出席いただけなかったイギリスのK婦人からのものです』と言ったのです。私は、ええっ、と花嫁らしからぬ声をあげて驚いてしまいました。

レストランの壁に備え付けられたスクリーンに写ったのはずいぶんと痩せてしまったけれど、変わらない優しい笑顔の奥様でした。『私の日本の娘、本当ならばその場であなたを抱き締めて祝福したかったわ』と、映像の彼女が語り始めた途端、涙が止まらなくなりました。全ては夫とM先生、Oさんが用意してくれたサプライズでした。先生のイギリス人のお友達が、奥様の息子さんと同じ大学だったそうです。そのツテでコンタクトを取り、このメッセージビデオを撮影してくれたのでした。

もう会えることはないかもしれない、とまで思っていた奥様との映像とはいえ予想外の再会への喜び、そして、それを用意してくれた友人と夫への感謝で胸がいっぱいになりました。いつか夫婦で英国へ訪れ、今度は奥様に結婚式の映像を見て欲しい、そして、最愛の優しい夫を紹介したい。それが今の私の夢です。